プロフィール

はじめまして!

こぶさんこと、小武家俊哉(こぶけとしや)と申します。広島の街中で胃腸科医をしています。私のブログ「84523」へようこそ。このタイトルは栄(8)養(4)こぶさん(523)というシャレになっています。文字通り栄養に魅せられた私が皆さんと一緒に学び考えていく場が欲しくなり、ブログを作るに至りました。

このセクションでは自分がブログを作るに至ったストーリーを紹介したいと思います。少し長くなりますが良かったら読んでみてください。

きっかけは「世界食卓」

幼い頃から不自由なく育てられた私は何も考えることなくすくすくと育ちました。牛乳を毎日1リットル飲み、とにかく何でも食べていました(今考えてみれば完全な糖質過多でした)。しかし高校を卒業するあたりからアトピー性皮膚炎が出始め、ステロイド薬を塗ったりしていました。

そんな私が栄養に興味を持ったのは大学生時代のころです。大学祭の出しもののひとつに学生展示の「医学展」がありましたが、私は同級生や後輩達の助けを借りて「世界食卓」と名付けた栄養の展示を行いました。味噌汁の塩分濃度の違いを体験していただいたり、長寿食を調べてみたり、という活動を通じて栄養のことを知るのが好きになっていきました。

つながりの大切さを教えてくれたNST

医師となり病院に勤務するようになった私は日々の診療に忙殺されることが多くなりました。そんな折、広島のある病院で胃ろうや嚥下障害といった高齢者の栄養に深くたずさわることになりました。

院内にはNST(Nutrition Support Team : 栄養サポートチーム)と名付けられた、栄養に関する問題が生じている患者さまを援助するチームが立ち上がっていました。私はそこに所属し、歯科医師先生、看護師さん、栄養士さんたちと意見を交換したり患者さんに関わったりするようになりました。

そこで学んだのは職種の垣根を越えて意見を出し合い工夫するということでした。医師一人で出来ることは知れていましたが、その代わりに多くのスタッフに助けてもらっての活動だったと感謝しています。

治る?治らない?…医院での生活指導

医院で父の診療を少しずつ手伝うようになり、徐々にその時間が増えてきました。多くの患者さまを診せていただいて自身もさらに成長できたと思います。

ただ私が気になっていたのは「〇〇を食べなさい」「△△は止めておきなさい」「運動は□□を×分」など、具体的な生活指導が自信を持ってすることができなかったことでした。経験で、あるいは聞いたことがあるようなことを、何となく患者さまにお伝えしていたというのが実際でした。

もちろんそれをするしないは患者さま本人によるでしょうし、その効果も人それぞれであるというのは理解できます。しかし生活はその人の礎(いしずえ)であり、お薬や注射などでは替えが効かないものがそこには必ずあるはずだという想いがだんだん強くなっていったのです。

運命の出会い?!

そんな折、友人に勧められて手に取った書籍が藤川徳美先生の「うつ・パニックは『鉄』不足が原因だった(2017年・光文社刊)」でした。病名としての鉄欠乏性貧血は当然知っていましたが、日本人の多くの女性で鉄が欠乏しているという事実は衝撃的でさえありました。

その後、さまざまな栄養関係の書籍を読むようになると、出るわ出るわ…日本人に足りない栄養素は鉄のみならず何種類もあるではないですか!学生の頃にそのようなことを習った覚えもなく、NSTに携わっていた頃にもそのようなことを意識したことがありませんでしたので、かなり焦りました。

何はともあれ自分でやってみる

「分子栄養学」と名付けられた栄養を知り、そこから薬だけによらない体調の立て直し方を学び、まずは私自らがそれを実践してみました。よくひいていた風邪をひかなくなり、しょっちゅう飲んでいた胃薬が不要となり、趣味のランニングによる疲れも引きずらなくなりました。

自分の体調にも手応えを感じた私には栄養を学ぶ友人も増え、SNSで有用な情報交換をしていくことが出来ました。「これは世の中に必須の知識と現実だ」と感じ、「これを患者さまにきちんと伝えていこう」と決意しました。

思うようにいかない栄養指導

しかしこれが思った以上に困難な作業でした。「分子栄養学」の考え方はこれまでの栄養に対する考え方とかなり方向性が異なります。そのため診察時間に内容を説明するのには多くの時間を要し、説明したとしても納得していただけなかったり、半信半疑の反応が返ってきたりということばかりが続きました。

一人一人の説明時間は長くなり、なおかつその理解が十分でないため効果も出ず、さらに他の患者様をお待たせし、という悪循環におちいりそうになった時期もありました。そのため院内掲示、手作り資材、書籍紹介などさまざまな方法を併用することでその内容が伝わるよう努めました。

実り始めた栄養療法

指導が患者様皆様に届いたわけではないかもしれません。しかし、地道に栄養の改善に取り組まれた患者様が、少しずつ元気になり始めたました。調子が良くなって薬もすっかり減らすことが出来た方も居られますし、薬が必要なくなって医院を卒業された方も居られます。右肩下がりだった体力が何とか踏みとどまった状態で過ごせる、という方も居られます。

診療の場でも栄養のチカラに手応えを感じた私は、セミナーや講義、SNSを通じて発信を始めました。しかし、現状では限られた方にしか伝えきれておらず、今回ブログなどの方法もそれに加えることにしました。

できるだけ分かりやすく伝えたい

栄養の話をお伝えするに際しては誰が読んでも理解しやすいものが理想的ですが、なかなかそうもいかないこともあるかと思います。記事を重ねながら、お声をいただきながら、ベストバランスを探っていきたいと思います。

今や栄養関係のブログや書籍は数多く優れたものがあり、今私が必ずやらなければならない!というわけではないかもしれません。しかし、発信すれば誰かのお役に立てるかも知れないという思いで書いていこうと思います。よろしくお願いいたします!