タンパク質の消化・吸収

タンパク質の消化・吸収

もっとも重要な栄養素「タンパク質」。これはどのように体内で消化・吸収されるのでしょうか。この仕組みを知ることでより効率的、効果的にタンパク質を摂ることができるかもしれません。

口から入って胃をぬけるまで

噛む!噛む!

食物が口の中に入ってきたら、まずは咀嚼で小さく噛み砕かれます。このステップは非常に大切で、その後の消化吸収に大きな影響を与えます。

すなわち、細かく噛み砕いていればその後の消化吸収が楽になるということであります。食べたものが体内にしっかり取り込まれるようにするための大きな、重要なステップだと考えましょう。

そのためにはいい歯のコンディションを保つこと、噛む力(顎をしっかり使える)も大切です。柔らかいものばかり食べていてはなかなか噛む力は備わりませんので歯ごたえのあるものを食べるのもいいですね。

胃に突入!

いよいよ胃に入ってきたタンパク質は胃酸の海の中で、ペプシンという消化酵素の働きを受けてポリペプチドにぶっちぎられます。

タンパク質はアミノ酸がたくさんつながって3次元構造を取ります。ポリペプチドもアミノ酸がつながったものですが、タンパク質ほど込み入った形になっていません。それよりも短くなっています。そうでないと消化とは言えませんよね。

胃の中でペプシンがきちんと働くためには胃酸(=塩酸)が欠かせません。ペプシンの元であるペプシノーゲンは胃酸のもとでペプシンに変換され、消化力を持つのです。

ピロリ菌感染を起こしている胃(=慢性胃炎)や、胃酸を抑える薬を飲んでいる状況では十分にペプシンが働くことがかないません。

同じ量のタンパク質を食べても、消化吸収に差がついてしまうわけです。

胃の動きも大切

胃の動きのことを蠕動(ぜんどう)運動と言います。

胃の筋肉が、自律神経の調節を受けてグイグイと食物と胃液とを混ぜ、そして次の小腸へ送り出してくれます。この「グイグイ」と混ざることがペプシンの効果を高めてくれることになります。胃の筋肉がしっかりしていることもまた大切なのです。

胃の筋肉を動かしてくれる食べ物こそがタンパク質であり、それが吸収され、めぐりめぐってその一部は胃の筋肉となるのです。これをタンパク質による「胃の筋トレ」と呼んでいます。

消化吸収の最終段階~小腸

十二指腸で膵液と出会う

胃から出てきたポリペプチド(タンパク質が切られたもの)は、膵臓からの消化液に含まれるタンパク質の消化酵素「トリプシン」「キモトリプシン」「エラスターゼ」によってさらに細かく切られていきます。

※ポリペプチド=「ポリ」…たくさんの + 「ペプチド」…アミノ酸がくっついたもの

膵臓がちゃんと機能することももちろん大切なのですね。

さあ、吸収まであと一息!

小腸での消化・吸収

十二指腸の奥に進み、小腸に入ったポリペプチドは小腸粘膜から出てくる消化酵素「ジペプチダーゼ」「アミノペプチダーゼ」によってアミノ酸となり、めでたく小腸から体内に吸収されるのです。

めでたし、めでたし!

ところで…

消化酵素は何から出来る?

消化酵素は何を隠そうタンパク質でできています。

タンパク質でタンパク質を消化するのです!

もっとも糖を消化する酵素、油脂を消化する酵素もタンパク質で出来ています。タンパク質が不足してはおちおち栄養の吸収も出来ないことになります。

アミノ酸を直接摂ったらどうなる?

アミノ酸は調味料で使用されたり、だしの成分だったり、あとはサプリメントなどもありますね。

アミノ酸はすでに「消化されたもの」扱いです。消化酵素の作用は受けず、吸収を受けるだけとなります。

アミノ酸サプリメントは胃腸には負担が少ない、とも言えるかもしれませんね。

まとめ

タンパク質の消化吸収は…

・よく噛み
・胃→十二指腸→小腸で消化を受けて吸収される
・消化酵素はタンパク質でできている
・アミノ酸を摂るとそのまま吸収される