ユビキチン-プロテアソーム系
今回取り上げるテーマは生化学的な要素が強く、直接みなさんの生活に影響を及ぼす話ではありません。しかし、体内でこのような営み・システムが働いているということを知るのも悪くないと思います。こぶさんが調べたことをきわめて単純化して記事にしてみました。
ノーベル賞もの!
「ユビキチン-プロテアソーム系」聞いたことありますか?
なんと2004年に3人の博士にノーベル化学賞が贈られた発見なのです。
(写真:nobelprize.org)
できそこない・不要タンパク質の分解システム
ひとことで言えばそういうことになります。
私たちのカラダでは1日なんと30g近い不良品タンパク質ができてしまうそうです。これらがどんどん溜まっていくと、細胞や組織は機能不全に陥ってしまいます。いらないタンパク質が溜まることで起きる疾患もありますよね。アルツハイマー病やパーキンソン病もそう言えると思います。
「ユビキチン-プロテアソーム系」は生体活動に不都合なタンパク質を分解する働きを持っているのです。
不要なものだけを分解する精巧なシステム
なかなかよくできたシステムです。
まずユビキチンという(低分子の)タンパク質が「これ不良品ですよ」というタグのような役割を果たします。これがたくさん不要タンパク質にひっつくことで「完全なラベル」となります。
タンパク質を処分するのはプロテアソーム(タンパク質分解屋、とでも言いましょうか)です。
プロテアソームが複数個重なったユビキチンを認識して不要タンパク質を分解してしまいます。
ユビキチンは不良タンパク質から離れ、再利用されます。
こうして「不要なものだけ」を片付けるシステムなのです。実によくできています。
不要なタンパク質や細胞内器官を処分するシステムではこれまたノーベル賞を贈られた発見である「オートファジー」もありますがこれはまたの機会にしましょう。
がんに対抗する薬剤の開発
がん細胞のユビキチンプロテアソーム系を邪魔してしまい、がん細胞に機能不全を起こさせようという薬剤も開発・臨床使用されています。
調べてみたところ、なかなか副作用ナシ!というわけにはいかないようですが。
こぶさんの勝手な考察
ここからはこぶさんが勝手に考えたことなので調べたこととは違います。
「ユビキチン-プロテアソーム系」を見てみると、ユビキチンにせよプロテアソームにせよタンパク質でできていることは間違いないので、低タンパク質状態ではこのシステムがうまく回らない可能性があるかなと思いました。
タンパク質を作り出すことがクローズアップされがちな栄養療法ですが、うまく分解することもまた、健全な営みに欠かせないものなのかなと考えています。
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