鉄-その欠くべからざる役割-

鉄-その欠くべからざる役割-

鉄はカラダに欠かせない大切なミネラルのひとつです。今回はその役割をおさらいしてみましょう。

その7割は赤血球にある

鉄は通常体内に3-4g程度が存在するとされています。

その7割は赤血球にあり、酸素を運ぶタンパク質である「ヘモグロビン」の材料となります。

他にも肝臓や筋肉などに存在しています。吸収、利用、再利用、排泄を受けながら、体内ではたらいています。

酸素の運び屋「ヘモグロビン」

鉄の7割が赤血球にある「ヘモグロビン」というタンパク質に含まれています。このヘモグロビンは「ヘム」と「グロビン」がくっついたものです。「ヘム」は金属と非金属が結合したもの、「グロビン」は球状タンパク質の一種です。

図(a)でグルグル巻きになったグロビンタンパク質にヘムが抱きかかえられているようなイメージとなります。図(b)はヘムの構造です。酸素はヘムに結合します。

カラダのすみずみにまで酸素を届ける役割を担う赤血球中のヘモグロビン。酸素がなければ細胞は生命活動ができません。ヘモグロビンがいかに大切かということが分かっていただけると思います。

エネルギー産生現場での「鉄」

エネルギー産生の”主戦場”は細胞内の「ミトコンドリア」という器官です。

ここで大量のエネルギーを作り出すシステムに「電子伝達系」というものがあります。ここでも鉄が活躍します。

鉄が不足すると電子伝達系がスムースに回らず、エネルギーがしっかり産生されないという事態に陥ります。

エネルギー作りの現場でも、鉄はとても大切だと言えます。

ドーパミン、セロトニンを作るのにも欠かせない

鉄は脳で神経伝達物質という神経同士のやりとりを支える物質を作り出すときにも大切です。

“しあわせホルモン”として知られる「セロトニン」、”やる気ホルモン”である「ドーパミン」などを作り出す際にも必要となります。

ちなみに元をたどってみるとこれらの神経伝達物質はタンパク質から作られることが分かります。

タンパク質不足ではどうにもならない、ということでもあります。

活性酸素の除去にも!

活性酸素を処理してくれる酵素のひとつである「カタラーゼ」も「ヘム」を持っています。つまり鉄を持っているということでもありますね。

こちらも大切な鉄の役割になります。

まとめ

体内における鉄の役割は…

① ヘモグロビン(赤血球)

② 電子伝達系(エネルギー産生@ミトコンドリア)

③ 神経伝達物質

④ 活性酸素除去

と多彩なものになっています。