脂質とは何か
タンパク質をしっかり摂り、糖質を控えめにする食生活においては脂質も大切となります。今回は「脂質とは何か?」について考えてみましょう。
脂質とは
脂質の定義
「水に溶けない、あるいは溶けにくい有機化合物」です。
単純ですね。
脂質の働き
脂質は私たちのカラダには欠かせません。大きく下のような役割を持っています。
・細胞膜のもとになる
・エネルギー源になる
・栄養の吸収を助ける
・ホルモンとしてはたらく
どれもとても大切ですよね。
脂質の分類
脂質は単純脂質、複合脂質、その他に分けられます。
その他を誘導脂質と言い、脂肪酸、コレステロール、脂溶性ビタミンなどが含まれます。
食事中の脂質「中性脂肪」
食事中の脂質は大半が単純脂質=中性脂肪のカタチで供給されます。
この中性脂肪には脂肪酸がくっついていますが、この脂肪酸の種類がカラダに対してさまざまな作用をもたらすということになっています。
健康界隈(?)でよく取り上げられるのがこの「脂肪酸」の部分です。
飽和脂肪酸だとか不飽和脂肪酸だとかω3(EPA・DHA)などですね。
脂肪酸についてはまた別の機会にまとめてみましょう。
膜の主要脂質「リン脂質」
複合脂質の中のリン脂質は水にも油にもなじむ、独特の性質を持っています。
中性脂肪は脂肪酸が3つグリセリンにくっついていましたが、うちひとつがリン酸化合物(リンを含む物質)に置き換えられています。
そのリン酸化合物のところは水に溶ける性質をもっていますので、リン脂質は「水になじむ」部分とそうでない部分を併せ持ちます。
このことは細胞膜を構成するときにとても重要になってきます。
模式的に描いた●に2本の足が生えたようなの、どこかで見られたこともあるかも知れませんね。
これがリン脂質の構造的特徴です。
derivative work: Dhatfield (talk)Cell_membrane_detailed_diagram_3.svg: *derivative work: Dhatfield (talk)Cell_membrane_detailed_diagram.svg: LadyofHats Mariana Ruiz – Cell_membrane_detailed_diagram_3.svg, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4228810による
細胞膜の模式図ですがそれを拡大してみると(上図の左下)、リン脂質(Phospholipid)が反対向きになって並んでいることが分かります。
細胞の内と外を仕切る細胞膜はこのように脂質の層を利用してできているのですね。
そもそも細胞の内と外を仕切るもの自体が水に溶けるものでできていたらそれは「仕切り」にならないかもしれませんよね…
誘導脂質…は、いろいろあるよ
誘導脂質と呼ばれるものは脂質の分類上、「その他」という意味合いに近いかもしれません。
直線的な構造を持つ「脂肪酸」
平面的な構造を持つ「コレステロール」
脂に溶けながらも多彩な働きを体内でする「脂溶性ビタミン」
…さまざまなものがここに含まれています。
これらについてもまたきっと取り上げることがあるでしょう。
まとめ
脂質とは…
・「水に溶けない、あるいは溶けにくい有機化合物」
・膜になったり、エネルギーになったり、栄養の吸収を助けたり、ホルモンになったり
・単純脂質、複合脂質、誘導脂質に分類される
正直、分かったような分からないような、かもしれません。
大枠を大雑把に捉えておくくらいでも良いかと思います。
しかし大枠を知っておくことは意外と大切だったりするものですよね。
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