タンパク質の「質」の話
当ブログは「タンパク質推し」ですが、タンパク質食品にもいろいろありますね。味のほうはともかくとして、タンパク質としての「質」について今日は考えて見ようと思います。
なぜタンパク質の「質」が大切なのか
米や小麦粉にも数値上タンパク質は存在します。例えば茶碗一杯のごはん(150g)中のタンパク質量は3.8g、6枚切り食パン1枚中のタンパク質量は5.7g。これらだけでタンパク質の必要量を満たすのは困難ですが、それ以上に「質」の問題が大切となります。なぜならば同じタンパク質量を摂ったとしてもカラダの中で有効に活用されない可能性があるからです。
アミノ酸の「桶理論」
タンパク質は多くのアミノ酸によって成り立ちますが、そのアミノ酸のバランスが大切となります。このバランスが悪いと、人体にとってのタンパク質の価値はもっとも少ないアミノ酸分しか御利益がないということになります。これを図で示したのが「桶理論」です。
例えば小麦粉にもタンパク質は量的には含まれてはいますが、アミノ酸のバランスが悪く、一番少ないアミノ酸の分量しかタンパク質が活かされないということになります。一般に穀類のタンパク質は「水があふれやすい桶」となります。
日本ならではの例えで、個人的には好きです。
タンパク質の「質」のものさし
プロテインスコア
1955年にFAO(国際連合食糧農業機関)から発表された評価法で「ヒトのタンパク質要求の何%を満たすか?」という指標になります。これが100であれば「体内でそのまま利用できる」と大雑把に解釈できます。
逆に、アミノ酸まで分解されたときに極端に不足するものがあれば「その不足したアミノ酸が別で補われなければ体内では十分利用できない」となります。
アミノ酸スコア
1973年にはFAOがWHOの協力でアミノ酸スコアを発表します(1985年にさらに改定されています)。しかし多くの魚肉食品が100となり、さらに大豆も100となりました。どこか食品同士を比較しにくいように感じられるものになりました。山本義徳先生はプロテインスコアと比較して急激に上昇した大豆のスコアを「政治的要因を想像しないほうがむずかしいかもしれませんね」とコメントされています(*1)。
吸収効率を考慮した新しい指標 “DIAAS”
少し政治色が入ったり、差がつきにくかったりするこれまでの指標に比べて、最近注目されるようになったDIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)は、小腸でのアミノ酸吸収効率までを考慮した数値となっています。タンパク質を摂るときに、もう一歩進んでこの辺りの数値も見ながら考えてみるのもアリかもしれません。
グラフからはやはり動物性由来のタンパク質のほうがアミノ酸吸収効率の面でも有利なように思われます。穀物にもタンパク質は存在しますが、このグラフを見る限りはそれに大きな期待をするのは難しいようにも感じられます。たまごはここでも優秀なスコアをたたき出していますね。日々積極的に取り入れたい食材の一つです。
ちなみに、DIAASも国際酪農連盟が「推し」ています。政治色がまったくないとは申しません。
とは言え、楽しく食べたい
DIAASやプロテインスコアは知識や考え方の上では役に立つと思いますが、それに縛られすぎずに楽しく食べていくことも継続の秘訣ではあります。知識は知識で頭に入れておいて、柔軟に実践する…これがストレス少なく食べていくことにもつながりますね。
ちなみに
お米のタンパク質はそう多くはありませんが、アミノ酸に分けて考えてみると「リジン」というアミノ酸が少ないことが知られています。大豆には「リジン」が豊富に含まれていますので「ごはんとみそ汁」「ごはんと納豆」の組み合わせはタンパク質の「質」を考えたときには悪くない組み合わせです。
まとめ
タンパク質の「質」、ざっくり把握しておけば良いと思います。
●肉・卵は「質」としては優秀っぽい
●魚もそれに準ずる
●牛乳は吸収が良い
●大豆は肉・卵・魚には「質」面では及ばなそうな感じ
●穀類のタンパク質は「質」で語るのは厳しそう
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